2017/03/27

手垢が見える写真。手垢が見えない写真。

山椿


自分の作った作品を見ていいなと思う。
なかなかそうはいかなくて、いやだなと思うことも多い。
作品が自分の手を離れて自立していること。自分の手垢が見えないことがいいなと思える条件かもしれない。
ではそれはどんなときに可能か。

もちろん手垢は付きまくっている。
それは、何を撮るかどう撮るか、撮った写真をどう仕上げるかという工程そのものが手垢の集積のようなものだからだ。
手垢は付きまくっている。しかし見るものの眼にテーマだけが入ってくる作品と手垢が前景化する作品とは何が違うのか。

おそらく手垢が目立つ場合というのは、このように仕上げたい、いや、作品自身がこのように仕上がりたがっているという道が不明瞭で、その道を試行錯誤した手垢の厚みが厚くて、そしてそれはそもそもその道が、つまりテーマが弱かったからそうなってしまったわけだが、その弱かったテーマが厚い手垢でさらに見えにくくなってしまっている場合ではないか。

良い作品はテーマが強い。
テーマが強いとあまり手垢をつける必要がない。手垢が少ないのでさらにテーマが前景化する。

〈後日追記〉
テーマが弱くてもそこには何かがあるという思いが強ければ、その思いが掘り続ける意欲につながり、掘り続けることでようやくテーマがくっきりと姿を現す。何かがあるという思いが弱ければ掘り続けることはできず、テーマが弱いまま、未練だけで作品を提示することになり、手垢が前景化した写真となる。




2017/03/25

current

current


まさか自分がメリル三兄弟を買い揃えるとは思わなかった。
3だけ持っていた時はそうでもなかったけど1と2を買ったら不思議と持ち歩くようになった。荷物が増えたのに逆に持ち歩くようになったのは撮影の自由度が広がったからだと思う。クアトロは僕には大きすぎる。メリルのコンパクトさが好き。

この写真は水面ギリギリにカメラを据えて撮った。こんな時ほどアングルファインダーが欲しくなることはない。今朝寝床の中であれこれ考えてメリルの背面液晶に潜望鏡のようなものを装着したらどうだろう、でも上からのぞき込むということは鏡一枚で上下が逆になるから、それなら結局フリップバック アングルビューファインダーでいいんじゃないか。跳び起きて、がらくた入れの中からフリップバックを探し出した。
結局ね、僕は「ちょうどいい不自由さ」を探しているのかもしれない。














2017/03/24

2017/03/23

2017/03/21

2017/03/20

forest

forest
Sigma DP1 Merrill


初代DP1の画像を見た時の驚きは強烈だった。ネットではDP1Mの評判があまり芳しくなかったこともあってDP1とDP1Mはどれくらい違うのかを確かめるために山へ行き三脚おっ立てて撮影。結果は当然といえば当然だけどDP1Mのほうが圧倒的に優れていた。DP1がf4始まりなのでDP1Mのf2.8は負けるかと思ったけどMの方が解像していた。Mはf2.8とf4が解像のピークでそれ以上絞ると落ちていく。僕としてはそれだけわかればもう十分で、さらにUNのルーペを使えば三脚は不要。シグマを使う時は解像の奴隷にならないことが大切だと思う。

玄翁池は上流の小さな池と下流の大きな池の間に細い水路があって水路の土手には冬枯れのすすきが豊かに茂っている。すすきの黄金色の光が木立を後ろから照らして玄妙な景色を作り出していた。










2017/03/19

川の風景

river
Sigma DP3 Merrill


水位観測所を今度はDP3 Merrillで。やはりDP3Mは解像がすごい。Flickrで開くと画面上端から下端に向かってピリピリ薄皮が剥がれていって、微細な粒子に覆われた画像全体が姿を現すあの感じ。
この写真はガードレールに足を引っかけて上半身を川側に乗りだして撮ったけど、川岸に降りれそうなので次回はブーツを履いてこよう。きっと川岸からいい写真が撮れる。川から蒸気が上がって靄が立っているときなんかに撮れたらいいけどそれはまた来年の冬。







2017/03/18

水位観測所

gauging station
Sigma DP1 Merrill

通勤の途中にある水位観測所。
何年も前からずっと撮りたかったけど撮らずにきた。
前作の天文台でこのトーンのイメージがつかめた。
今回DP1Mを手にしてまさに満を持しての撮影。
やれやれ、やっと撮れた。








2017/03/11

天文台

observatory


アバルトが初めての車検から戻ってきた。
一週間振りに乗るアバルトの印象は「なんちゅう凶暴なクルマや。わしはこんな凶暴なクルマに乗ってたんか」というもので、それでもやっぱり楽しくて久しぶりにドライブに出かけた。
買って三年間ずっとスポーツモードだったが、田舎道をのんびり走りたくてスポーツモードをオフにして走行。
以前はスポーツモードオフだと走りがかったるくてすぐにオンにしていたが、スロコンのおかげで走りはそれほどダルにならず、ステアリングが軽い分いい感じで走り続けた。

どこへ行く当てもなく走っているうちに山道を走りたくなって自然と行き先は大野山に決定。
つづら折れをどんどん登って山頂に着くと三月だというのに寒風が吹きすさんでいてなかなか寒い。駐車場にクルマを止めて歩いて頂上へ。そこで撮った写真が上の写真だけど、一応持って行っていたD800Eでも撮ったけど、なぜかiPhone6で撮った写真の方が気に入って、家に帰ってからその写真を加工してFlickrとブログにアップした。

この写真の仕上がりにはとんでもなく満足していて、自分で言うのも何だけど見るたびに感動している。
色のトーンが、それは中世の西洋絵画、ブリューゲルの描いた農民画やダビンチのモナリザや受胎告知の背景の色合いに似たトーンなんだけど、この炭のような黒と暗茶がなんともいえず美しい。そして遠くに光が当たっている天文台もいい。
自分の作った作品にはいつもそれなりに納得はしているが、まるで他人の作った作品のように感動できるのは稀だ。

これからもこんな作品を作りたい。スクエアがいいな。ハッセルなんかはどうだろう。ここしばらくライカM10やフジのGFXに心が揺り動かされていたけど、ハッセルでこの景色を撮ったらいいものが撮れるんじゃないか。
そう考えて以前ハッセル熱に浮かされていたときに買いあさった本を引っ張り出してきて読んでいるうちに、やっぱり自分はフイルムを現像に出して返ってくるの待つのは無理だと思い直した。
でもデジタルバックという手があるじゃないか、以前はとんでもない価格だったけどもうそろそろ安くなってるんじゃないかとネットで調べたらセンサーサイズがフイルムよりかなり小さい。大きいのもあるけど何百万もする。

うーん、ダメか。あ、しかし小さめのセンサーサイズでいいならGFXでいいじゃないか。そうだ、やっぱりGFXだ、というのでFlickrでGFXで撮られた写真を見てみたが、どれもパッとしない。何が気に入らないかというと、中判だ、中判だというわりに撮られた写真が僕のイメージする中判写真と違うのだ。
Flickrでみるハッセルの写真と何が違うかというと、中判独特の遠近感というか不思議な立体感がGFXで撮られた写真には感じられないのだ。なんというか、GFXの写真って35mmフルサイズのデジタル写真のちょっと大きいだけみたいな。いやもちろん画素数が多いだけ精細ではあるんだろうけど中判としてのありがたみがあまり感じられないのだ。

それならGFXにハッセルのVマウントレンズを装着すれば解決するんじゃないか、実際それ用のマウントアダプターも発売されだしたみたいだし。
いやしかし、35mmフルサイズよりちょっと大きいだけのセンサーサイズにハッセルのレンズを付けるだけならD800Eにハッセルのレンズを付けて四角に切り出せばいいじゃないか。そしてそれなら防湿庫に眠っているノリタの80mmF2のレンズを手持ちでD800Eに付けて撮ってみたらどうなるだろう。
それでそのとおりやってみたらそれなりの写真が撮れたけど、なんだかどんどん違う方向に行っている気がしてようやく思考と妄想の暴走列車が停止した。

寒風吹きすさぶ大野山山頂で、三脚立てて中判カメラをおっ立てて、あれこれやっている自分はやっぱり想像できない。
そもそも上の写真はiPhoneじゃないか。iPhoneでもこれくらいの精細さで簡単に撮れるのに。
そうだ、中判並みに精細に撮れるといえばシグマのDPシリーズじゃないか。
そうだ、今こそずっと買いたくてあきらめていた評判のいいメリルシリーズをコンプリートするタイミングじゃないか(僕はDP3Mをすでに持っている)。
それで今日DP1MとDP2Mを中古品で注文して妄念の暴走列車は本当に、最終的に停止した。
なんまんだぶ。

















2017/03/07

ume

ume
Nikon D800E Ai Nikkor 50mm f/1.2S















2017/03/06

山椿

camellia
Nikon D800E Ai Nikkor 50mm f/1.2S


写真を撮り始めてもうすぐ十年になるけど、僕は基本的にAモード、つまり絞り優先モードで撮ってきた。
といってもほぼ開放でしか撮らないのでいじるのはISOと露出補正ダイヤルのみ。
測光モードはまずマルチパターンで撮ってみて、露出補正ダイヤルでうまく調整できないときはスポット測光+AEロック。

気に入った被写体を見つけたら対象との距離、角度、構図、光の入れ方をあれこれ変えながら何枚も撮る。
でも光の入れ方を変えながらAEをロックしたり解除したり露出補正ダイヤルで調整するよりも、Mモードでシャッター速度を変える方がずっと楽だということに先日ようやく気がついた。
さらにこれくらいの光ならこれくらいのシャッター速度という大体の感覚が、それはフイルム時代の人ならみんな身につけていたと思うけどようやく僕にも身近に感じられてちょっとうれしかった。

追記
ネットでMモードを検索するとカメラと車とエロと心エコーという、普段あまり接点のない4つのカテゴリーがネット上で交錯しあっているのは面白いですね。














2017/03/05

紅梅

紅梅
Nikon D800E Ai Nikkor 50mm f/1.2S












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