2009/11/22

万人に無益なヒント

司会「えー、今日は見事禁煙に成功されたベンジャミンさんに、いかにすれば禁煙が可能であるかについてお話しいただきましょう。
ではベンジャミンさん、どうぞ」

ベンジャミン「ありがとうございます。ただいまご紹介にあずかりましたベンジャミンです。
私もどうやら禁煙に成功したようなので胸を張って諸君にアドバイスを述べさせていただこうと思います。
えっへん。
そもそも事を成し遂げようと思ったら、何事によらずテーマが必要である。
たとえそれが何かを止めるという行為であったとしてもだ。
いやむしろ何かを止めるという時にこそ、テーマが必要なのだ。
我々はそれを止めるのではなくて成し遂げるのだ。

例えばそれが禁煙であるなら、我々は煙草をやめるのではなくてヤニ抜きを行うのである。
ここで繰り返し強調するが、止めるのではなく、行うのだ。
止めるという行為は一見簡単なように思えるが、禁煙というのは単に止めるのではなく、止め続けなくてはならない。
止め続けるというのは、制止し続けるということだ。
動物というのはその名の通り動き続けるものなので、停止状態を維持するのは本来困難だ。
だから視点を変えて、ヤニ抜きという行いを行い続けると考えるわけだ。
この意識の変革によって、我々は能動性を獲得するのだ。

えー、次に。
我々愛煙家が煙草をやめようとすると、真っ先に思い描くのが禁煙後の欠落感だ。
もはや我々は食事や仕事のあとの至福の時を永遠に失ってしまうではないか。
マイナスでしかないことを、どうして始めようというのだろう。
我々が肺ガンになるかどうかは確率の問題に過ぎないが
至福の時を失うということは確固たる事実ではないか。

だが私は諸君に約束しよう。
欠落は永遠に続くのではない。
やがて時が来れば、得るか失うかという座標軸そのものが消失するのだ。
座標軸そのものが消失することによって、我々は欠落感から解放されるのだ」

司会「いや~、心に響くお話でした。ところでベンジャミンさんはかなりなヘビースモーカーだったのでしょうか」
ベンジャミン「いや、わしは通勤の間だけ煙草を吸うので一日2~3本かな」

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